トロンボーン

基礎練習の5つのカテゴリー

みなさまこんにちは!
バストロンボーン奏者の武崎創一郎です。
広島交響楽団で演奏しつつ、トロンボーン好きのためのコミュニティ【広島トロンボーンプロジェクト】を運営しています。

さて今回は基礎練習の話。

みなさん日々コツコツ基礎練習やっていますか?
私のレッスンを受けに来てくださる主に中高生の中には

「トロンボーンの先輩が1人もいないので練習の仕方がわかりません」とか
「レッスンの先生が(外部から)来ていないので練習の仕方が合ってるのか不安です」
「そもそも部活やサークルの時間の中で、個人やパートで基礎練習をする時間は取っていません」

といった悩みを持った方がとっても多いです。
もちろん部活によって財政、活動時間、人数などなどの事情があります。
基礎練習が習慣にならないのも仕方ないですよね。

とはいえ基礎練習を毎日(できれば毎日やりましょう)つづけなければ、いつになってもトロンボーンは難しいままです。いつまでも難しい、上達しないままだと、そのうち楽しくなくなってしまうかもしれません。
トロンボーンの先生である私としてはそんな事態には絶対になって欲しくありません。

というわけで今回は、コツコツ続けてほしい基礎練習のメニュー!
ざっくり分けて5つ紹介していきます。
どんな練習をすればいいのか?をこの機会に覚えていってくださいね。

基礎練習の目的は?

まずは何のために基礎練習をするのか?
ここを抑えておきましょう。

基礎練習の目的を理解していれば、どんな練習の仕方であっても少しずつ上達していくはずです。若干大げさな言い方ですが。

良い音をつくる

トロンボーンをはじめとする金管楽器の練習において、文句なしに一番重要なのが「音のクオリティの高さ」です。音色という言い方もしますね。

トロンボーンの良さはズバリ、柔らかくよく響く太い音。ですがこの柔らかくよく響く太い音にたどり着くまでにはたくさんの時間が必要です。
基礎練習をするときはもちろん、トロンボーンを吹く間はずっと「良い音で吹く」ということを考えていなければなりません。

ちなみに私はトロンボーンを始めた当初から自分の音色があまり好きではありませんでした。周りのプレイヤーと比べては落ち込み、コンプレックスを抱えながらトロンボーンを吹いてきたのです。
でも自分の音色に悩み試行錯誤しながら、諦めずに練習を続けたことで、現在プロトロンボーン奏者として活動できています。

良い音とはどんな音でしょうか?
あなたはどんな音で演奏したいと思っていますか?
あなたが今出せる、いちばん良い音が出ていますか?

いつも自分に問いかけながら練習してみて下さい。

トロンボーンを簡単に吹けるようにする

金管楽器は数ある楽器の中で、最も難しい楽器です。
音を出すことそのものがシンプルに難しい、というのが大きな理由です。

さらにトロンボーンは楽器が大きく息がたくさん必要ですし、スライドの操作は困難を極めます。
金管楽器の中でもとりわけ演奏が難しい楽器だと言えるでしょう。

そんな難しいトロンボーンですが、演奏しているときは音楽に集中したいですよね。
そうでなければ演奏する喜びが無くなってしまいますから。

トロンボーンの難しさに囚われず音楽に集中して、トロンボーンの良いところをどんどん表現する。そのために日々の基礎練習を続けていって下さい。

基礎練習の5つのカテゴリー

さあここからは基礎練習を5つのグループに分けて解説していきます。

これはあくまでざっくりと「あえて分類するならこうだよね」という感じで分けたものです。
もちろん最初はそれぞれのグループごとに、シンプルなパターンで練習するのをお勧めしています。

ひとつひとつを継続して練習しているうちに理解が深まるので、難しい練習を編み出したり、それぞれを組み合わせたりしながら、どんどん力をつけていって下さいね。

ブレストレーニング

まずは準備運動がてら、ブレストレーニングをしましょう。

トロンボーンは大きな楽器ですし、音が大きいのでたくさんの息が必要になります。
できるだけ楽に、音をしっかり響かせるためには、日々のブレストレーニングが欠かせません。

ブレストレーニングで大切なのは、リラックスしてスムーズな息の流れを確保すること!
肺活量を増やすのが目的ではないので「鍛える、広げる」といったイメージは持たないようにしましょう。

いま使える息を、どう上手く使うか?を考えながらトレーニングしていきましょう。

バズィング

ブレストレーニングの後は、マウスピースでのエクササイズ「バズィング」をしましょう。

バズィングの練習は特にパターンを決めずに「ブィ〜ブィ〜」と自由にやっているよ〜という方、多いんじゃないでしょうか?めちゃくちゃもったいないです!

まずバズィングは「音を出すときに息が流れているか」をチェックできる大切な練習。
ためしにマウスピースを唇に当て、音を出さずに息を吹き込んでみてください。そしてマウスピースの前に手をかざします。たくさん息が出ていますね?
つぎにバズィングをしながら同様に手をかざします。
どうですか?息が流れていますか?

この息の流れを確保してあげるだけでも、トロンボーンからかなり音が出やすくなるはずです。

練習の最初に息の流れとバズィングをチェック!
騙されたと思って続けてみて下さいね。

ロングトーン

いよいよトロンボーンを吹いていきます。
ここからの練習グループは、どの順番で行っても良いと思っています。
これはあくまで武崎が行なっている練習順です。

話を戻してロングトーンのこと。
みなさんロングトーンって何のためにやっていますか?
音をまっすぐ伸ばせるようになるため?長く伸ばせるようになるため?
いろいろありそうですね。

武崎がロングトーンをする目的は「音のクオリティを上げるため」です。

ただまっすぐに音を伸ばすロングトーンは、音の立ち上げ方や、太さ手触り響きといった音色にあたる部分、そして音の切り方、などをデザインするのに最適な練習。

私は普段、♩=60くらいで4拍のばして4拍休んで次の音、というやり方で練習しています。
ゆったりと息を吸い込む間に「どんな音を出すのか?」をしっかりとイメージしてから音を伸ばしましょう。

ここでは体にストレスをかけたくないので、拍を長くしすぎたり、高すぎる音や低すぎる音には取り組みません。
とにかく自分が一番良い状態で音を出す。これが鉄則です。

リップスラー

金管楽器は同じ指やポジションでたくさんの音が出る楽器。
うまく扱うにはそのたくさんの音を、口の形や息のスピードをコントロールすることで、スムーズに行き来しなければなりません。
とりわけタンギングを使わずに音を変えるテクニックをリップスラーと呼んでいます。

リップスラーは金管楽器プレイヤーにとって最も重要なテクニックです。
私も含め、すべてのプロ奏者が日々の基礎練習のほとんどの時間をリップスラーに費やしています。

リップスラーの練習において大切なのは、まっすぐな息の流れ。
音を変える時に息を大きく減らしたり増やしたりすることなく、一定量の空気を送り込むよう気をつけてみてください。

そして何よりも、ロングトーンで作った良い音を使ってリップスラーを行う。これが重要です。

音階

音階の練習もトロンボーンには欠かせません。

トロンボーンの演奏を難しくしている大きな要因のひとつがスライド。
当たり前ですが、音を出す時にスライドが正しい場所にいなければ良い音は出ません。

私のレッスンでも「この曲のここが難しいんです〜」と来られた方に、音を出さずにスライドだけを動かす練習をしてもらったところ、いきなり完璧に吹けてしまった!
なんて事はよくあります。
スライドを操作する技術を高めれば、おのずとトロンボーンが簡単になるというわけです。

で、基本的なスライドの動かし方を鍛えられるのが音階練習です。
始まりはゆっくり、音ひとつひとつをしっかり鳴らしながら、リラックスしてスライドを動かします。

温まってきたらリズムを倍にしたりテンポを上げたり、より複雑なパターンを練習したりしていきましょう。

音階の練習は音の立ち上がりをデザインする練習にもなりますし、音程感覚も身につきます。
あ、必ず全ての調(短調含む)を練習してくださいね!
もちろん何日かで1周でもいいので。
楽譜を読むのが速くなりますし、様々な音域を吹くことになるので高い音や低い音のトレーニングにもなります。

基礎練習をコツコツ続けましょう

トロンボーンの基礎練習について5つのグループにわけて解説しました。

どの練習も数ヶ月後や数年後といった、わりと遠い未来を変えるものです。
今日明日でグンと伸びるものではないのでなかなかモチベーションも起こりにくいとは思います。

なんか武崎がコツコツ続けろって言ってたし今日も頑張ってみるか〜、という感じでやってみてくださいね。
なによりも大切なのは、基礎練習を習慣にして長く続けることですから。

私のトロンボーン教室では日々の練習メニューの相談・プラン作りも行っています。
もちろんオンラインでも可能です。
もし困りごとがあれば、いつでもお問い合わせくださいね。